.昔の道はよかった 案内え
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昔の道はよかつた  舗装はしてなかった
風が吹くと家より大きな砂ほこりのかたまりが道路の砂を巻き上げながら襲ってきた
  後ろ向きになってやり過ごした   頭も服も 白くなった
口に入って歯がジャリジャリした
目にはいったのは 指で目を広げて ふーっと吹いてもらった 涙で流れた
砂利道で転んだら 傷の中に小さい砂利が入っていた 泣く子はいなかった
道肩の雑草の中に彼岸花も咲いた 野菊も咲いた タンポポも咲いた
タンポポの軸をもって 花を叩き落としあうのを 相撲と言った
雑草のスカンポは酸っぱかった レンゲソウは ちょっと甘かった
雑草の中に スイッチョや  カマキリや トカゲや 蛇もいた
スイッチョは声が聞こえるが 姿は見せなかった
穴に逃げ込む蛇のしっぽを引っぱると プチュンと切れた
細長い草の葉で手が切れた
拾ったものを 草の中にかくせた
道の真ん中でも草が生えていた
真夏でも 草を伝って歩くと 素足が熱くなかった
砂利道を素足で歩いても痛くなかった
道は白かった 茶瓶の水で ケンケンパーの囲いが書けた
棒の先でも書けた 一人がひっぱり 一人がおさえた
陣地取ごっこができた
缶けりの 拠点のまるが書けた
ママゴトの間取りが書けた  玄関と台所だだつた
水で練った土がご飯だった おかずは小石だった
道は子供の遊び場だった  大勢でも遊べた
ドッチボールの囲いの半分は道にはみでていた
車のタイヤの通るところは あちこっちで へこんでいた
へこみに道路工事の人が小石を入れて 補修して回った
小石は喧嘩の時に 投げ合うのに使った
池の水どりの 命中ごっこにも使った
ビー玉の練習にも使えた
自転車で入ったら 転倒した
少しづつ持って帰って 犬小屋の前に敷いてやった
昔の道はよかった
雨が降ると一ぱい水たまりが出来た 車のタイヤの通るところに水たまりが多かった
家の前にもあった
学校の門前にもあった
学校の帰りに 水たまりを伝って歩いた
水たまりにはアメンボーが浮いていた アメンボーのことをアメリカと言った
小川でつかまえた メダカやモロコを入れた  すぐに死ぬことは知っていた
水たまり どうしを細い溝でつないで 運河と言っている奴がいた
ゴム長で水をすくって遊ぶ子がいた
牛の小便が入っているかもと 大人が言うので 男の子も女の子も小便入れが流行った
誰かが 近ずくのを待って わざとはまってシブキをかけた
車の跳ね飛ばしは傘を広げて避けた
泥で汚れた 手足が洗えた 顔も洗った
上の方の澄んだ水を両手ですくって飲んだ
水たまりを覗くと 底の方にお日さんが光っていた
                             おわり
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