び っ く り 猫
たぬきときつね かえるくん おこうさん 案内え
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県道にそって住宅や 商店や オフイスが建ち並んでいる中に、まだ建物がなく田や畑のままのところがあります。 
そのうちの ある畑を一郎君のお父さんが家庭菜園にして 休日の楽しみにしています。
4年生の一郎君には1年生のさくらちゃんと言う妹があって、 二人とも菜園が好きで日曜日にはお父さんと一緒に
草取りや水やりの仕事をするうようにしています。
 きょうは日曜日です。朝ごはんの時に、お父さんが
 「今日は、 さつまいもの ためし掘りをしてみよう。」 
と、言うので二人は いも掘りを楽しみにして畑にきました。 
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畑に来て前を歩いていたお父さんが、不意に立ち止まって ヤラレタ」 と小声で言うのを聞いて、二人は
何事かと見ますと、 きのう 野菜の種をまいたところが猫に荒らされているのです。  
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野良猫は耕してふかふかになった土が好きで、うね(野菜を植えるところ)の上
を歩いたり、寝転んだりして遊ぶのですが、やっと仕事を終えた人間様には、 
いい迷惑(めいわく)で、 きついお仕置きを。と思うのですが、猫の方がすばしっ
こくて捕まえることはできません、人はいつも 「ブーブー」 言うだけてす。
荒らす猫
今も、うねの上に足跡があり 種もふんずけて、その向こうには種も一緒に土を掘り返したあとがあります。
猫は自分のフンをかくしておく習性(猫の性質)があり、後足で土をけとばしてフンにかぶせるのです。
お父さんはすぐに修理にかかりましたが、子供の前で猫の悪口は言えないので、怒るのを我慢しているのが
一郎君にはわかるのです、 ですから いもほりの話は言い出せません。 
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草を取っていると さくらちゃんが、「かわいいねこが来た。」と言うので、一郎君が見ますと 赤い首輪ををつ 
けた 三毛の子猫が そろそろとやってきます。 
家で飼っているペットのメリーと 毛並みが似ていて 一郎君にも 可愛いくみえました。
首輪をつけている猫は、たいてい飼い猫 (お家でかわれているねこ) なので
あまり人を恐れずに近ずきますが、 中には畑を荒らす飼い猫もいます。
子猫は2m ぐらい近づいた所で、立ち止まっています、一郎君はいたずらの
つもりで、ピンポン玉くらいの 土のかたまりを、輪投げのようにヒョイと
猫に放ると、今日はうまく当たったので 大変なことになります。
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. 立ち止まって、よそ見をしていた子猫が 不意になにかが当たったので びっくり 
して飛び上がり、 そのまま フルスピードで県道のほうへ走っていきます。
県道はひっきりなしに車が走っています。 子猫は歩道を飛び越えるような勢いで、
車道に突進します。
 危ないツ
見ていた二人には どうする事も来ません。こわい予感で体中が固まります。 
とたんに、車のブレーキの音がして 小型トラックが急停車しました。    
一瞬 子猫が車にあたった様子が頭に浮かんで恐ろしくなり、自分たちが猫を走らせたのが原因だと震えます。
なぜか、お家でかっている子猫のメリーの姿が チラっと頭の中で見えた気もしました。
道路は、歩道と車道のさかいに植え込みがあって、二人からは車道の様子がみえないのです。
かけよって確かめに行く など恐ろしさが いっぱいで気が付く余裕はありません。 
間をおいて、小型トラックが何事もなかったように走りだしたのを見て、「ああ無事だったのだ。」 と思うことにした
もののまだ車道まで見に行く勇気はありません。    
さくらちゃんも兄ちゃんにくっつくようにして、 座り込んだままです。
一郎君は さくらちゃんに 話かけてあげようと思いました。 
その時  歩道から
 .「猫が死んでる」 と大声がきこえました。 
一郎君は はっ として反射的に立ち上がり さくらちゃんは一郎君
に飛び付くようにして抱きつきました。
二人は一度顔をみあわせましたが、 何も言えません。
自分たちが 三毛の子猫を死なせた。 可哀そうなことをした。
長い間とも短い間とも分からず、そのまま突っ立っていました。 
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お父さんは向こうで鍬仕事をしていますが何も知らない様子です。 
しばらくして 一郎君の目に やっと お父さんの姿が見えるようになって、すこし自分を取り戻したようです。
お父さんに何か、話し掛けてみたいと思ったのですが、 どう話しかけてよいのかわかりません。 それでも、
さくらちゃんの手をひいて お父さんの方に歩きました。
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県道から男の人の声が聞こえて 保険所の車が止まっていました、おじさん二人の話声です。 
 「これは夜中にやられたようだな。」  「野良だよ。」
と言って、黒い大きな猫を車につんで バタンと ドァをしめるのが見えました。
死んでいたのは 三毛ではなかったのです。 
二人は自分たちの しわざではなかった と分かると、体が ぐにゃり となったような気がしました。
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お父さんが そばまで来て、    
 「いもを掘るんだったな どこか自分たちで選んで掘ってみなさい。」 と 笑顔で言いました。
一郎君もさくらちゃんも笑顔になって いもの植わっている畝の方に  かけだしました。
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