お こ う さ ん 案内え
                                                  
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 むかし ある山のふもと村に、小さな古寺ふるいてらがありました。 
お寺は、長い間人の出入りもなく あれ放題ほうだいでした 。そのお寺にどこから来たのか おばあ
さんが住むようになりました。
おばあさんは こう とゆう名前なまえで、村人たちは 「おこうさん」 と呼んでいました。 
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お寺の近くに滝たきがあって、その滝の水を飲むと 病気が治るなおるとのいいつたえで、遠くとおくから 
でも 水をくみにくる人が大勢おおぜいいました 
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ある日、おこうさんと おしゃべり友だちの おちよばあさんがやってきて、
  「滝の水を飲のんでも病気びょうきがなおらない」
と おうちで寝ている おじいさんのはなしをしました。
おこうさんは、山で草を つんできて 
  「よく すりおろして 飲ませておやり」
とその草をあげました。 おばあさんは ためしてみようと すりおして おじいさんにのま
せました。 2-3日すると、
おじいさんは元気になってはたけに出かけていきました。 それを見た村人たちが
  「おこうさんの草のおかげで病気がなおった」
といいふらし 病気でこまっている人が おこうさんをたづねてくるようになりました。 .ラベンダー
となりの村の人や そのとなり村の人たちもと うわさがひろがって おこうさんは大い ニラ
そがしです。
もう 滝の水をくみにくる人はいません ただの いいつたえだとわかったからです。 
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まいにち いろいろな病気の相談そうだんにきますが、 おこうさんはいそがしい顔かおもせ
ずに だれのはなしもよくきいて 薬草やくそうをあげ、使い方の説明せつめいもしています。
 「頭あたまが痛くて眠れないのです」。 
と言うと、それはお気の毒に  「これを煎じてせんじてお飲み」とか
 「足がしびれて歩きにくいのです」。
と言う人には しびれに良くきく薬草を  「干ほしてこなにしてお飲み」      
と言ってだれにでも同じように、薬草やくそうをわけてあげていました。
薬草をもらった人は みんな病気がなおり、元気になったので大喜びです。 ローズマリー
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何日も過ぎたある日、山の向こうの村の人が おこうさんをたずねてきて                
  「大ぜいの村の人が体中が痛くなる病気になって仕事がてきなくなり、 お医者さんも
なおせなくて困っています、 なにか治せる方法ほうほうはないですか」。
 と相談そうだんしました。
おこうさんは 大変きのどくに思って いろいろの薬草をためしたが どれも効き目ききめ オオバコ
ありません 
 おこうさんもたいそうなやみましたが 最後の最後と思ってある決心をしました。
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滝の上に魔性 で人に悪さをするの物が住むと 言いつたえられている大きな石にかこまれた所があります。
 その中には大きな いちじく の木がありたくさんの実をならせていましたが、そこに入ると たたり
がある といわれているので、村では近づく人もいません。 
 おこうさんは ずっと以前 まえに おじいさんから 魔性のいちじくの実はどんな病気にも効きく と教え
られていたのですが、たたりがこわくて寄り付きませんでした。  
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決心したおこうさんは、いちじくの木に向かって、いちじくの実を下さい と手を合わせ一心
にお願おねがいをしました、三日間もお願いおねがいをしてから おこうさんは 滝の水で体を 
清めて念仏を唱えながら イチジクの実をひとつ頂いて 体中痛くなる病気の人にあげ
ま、した。 
するとどうでしょう、見る見るうちに病気が治ってシャンとしたもとの元気な体になったので
その人は大喜びです なんどもお礼れいをいって山の向こうに帰り そのことを村人に話
しました。
その日から山の向こうの人たちが大勢やってきて おこうさんから いちじくの実をもらっ 
てみんな元気になり うれしさのあまりに踊るような身振り みぶり で帰る人や 手を合わせ イチジク
て何度も、おじぎをする人もいました。
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たくさんなっていた いちじくの実も だんだん少なくなって さいごのひとつになりました。 
おこうさんは 魔性のいちじくの木に手を合わせて、                              
  「実をくれたおかげで大勢の人が助かりました」
と お礼を言いながら その一つも もらって病気の人にあげました。                    
おこうさんのおかげで おおぜいの人が 元気になり 山仕事や畑仕事ができるようになったのです。
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いちじくの実がなくなってから、おこうさんの姿すがたが 見えなくなったことに気づいた村人が、みんな
で手分けをしてさがしましたが見つかりません。 仲良しのおちよばあさんも 探しまわって何かいめ
かの 滝のそばを通ると 滝壺たきつぼの水が白く光っているように見えました、
村人にいいますと、その人も ようすがちがうので 下りて行って水の中をすかして見ますと そこに
沈んでいる おこうさんが見えました。 
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いちじくの葉を敷いて ねむっているような いつものやさしい顔です。 
こうなることを 知っていたように 白いきものを着ていたそうです。
  「村人たちは おこうさんは ほとけさまの化身だった」
と言って 新しいお寺を建てて おこうさんの霊たましいを お祀まつりして 村の
ほとけさまとして まいにち花や線香せんこうをあげてお参おまいりしました。 
遠くからもお参りに来る人がいて 「おこう観音かんのん」 と呼んで 長くお参りが
続いていました
. おわり
ほとけさまの化身  ほとけさまが人のすがたになって人をたすけること 
お祀おまつりする   儀式ぎしきをして霊にお寺に住んでいただいて人が霊をなぐさめること おこう観音
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